愛媛ご当地アイドル訴訟(平成30年(ワ)37265)の原告である大本萌景さんのご遺族と弁護団が新たに起こした訴訟について、わかる範囲で記事を更新します。

 【第三訴訟(賃金未払い訴訟) 訴訟内容】

 訴状は7月1日付けで作成され、7月2日に松山地方裁判所に出されています。
(訴状は東京地方裁判所へ送付予定)

 令和一年(ワ)第276号
 内容 未払い賃金請求事件 

 訴額  8万8096円
 印紙代 1000円 

 (仮執行宣言付き)

 原告  愛媛県松山市 大本茂 大本幸栄
 
 代理人 河西邦剛 同 佐藤大和 同 向原栄太朗 
     同 望月宣武 同 安井飛鳥

 連絡先 レイ法律事務所

 被告 Hプロジェクト 代表取締役 佐々木貴浩


 訴えの趣旨
平成29年の愛の葉Girlsレギュラーメンバーのマネジメント契約書では販売応援一回につき2000円の給与。同年10月以降は販売回数に関係なく月額3000円。

萌景さんは同年7月から9月まではHプロで清掃等のアルバイトをしていたことを理由に販売等については無給とされた。実際、販売応援に関してHプロから萌景に支給された給与は以下の通り1万1000円である。

 平成29年

 6月    2000円 7月18日支給
 7月    0円(Hプロでアルバイトをしていたため販売応援について無給)
 8月    0円(Hプロでアルバイトをしていたため販売応援について無給)   
 9月    0円(Hプロでアルバイトをしていたため販売応援について無給)
 10月 3000円(同年11月17日支給)
 11月 3000円(同年12月15日支給)

  平成30年
 1月  3000円(同年2月17日支給)

 萌景の労働に関わる賃金のうち8万8096円が未払いとなっている。これを遅延損害金とともに支払え、ということです。

 「Hプロは萌景を始め本件グループのメンバーの労働力により収益をあげているのであって、メンバーに対する金銭交付は、労働に対する正当な対価である。被告の恩恵的に与えていたという主張は未成年であるアイドルの労働力の搾取である。」
 
 というのが大まかな趣旨です。

 まだ被告側からの正式な書面での反論は出ておらず、訴状は東京地方裁判所に送付され、新しい事件番号がつく模様です。

 ですが今年4月22日に被告側(渥美陽子氏らの弁護団)から記者会見で配られた資料にはこのように書かれています。

 H31.4.22((月)16:00~16:30 愛媛ご当地アイドル自殺訴訟 被告側記者会見資料 3Pより〜

 あくまでも一部抜粋の引用です。

 【第三訴訟 原告側の訴え】

 「原告側の主張」タイトル「Hプロの性格,搾取の行動」に「萌景さんは平成29年4月から中華料理屋でアルバイトを始めたが、佐々木氏から本件グループの活動を優先するように言われた。アルバイトを始めたが佐々木氏から本件グループの活動を優先するように言われ、アルバイトを同年5月には辞めざるを得なかった。その後萌景はHプロ内で雑用のアルバイトをさせて労働力を搾取した。(準備書面(1)61〜63頁)とあります。

 これに対する被告側の反論


「そもそもHプロは芸能プロダクションではない。「愛の葉Girls」も農業生産法人であるHプロが行なっていた愛の葉農園のPRの為に作られたグループであり、一般的な芸能プロダクションとは同等には考えられない。原告らはしきりに「搾取」を強調するが、Hプロが「愛の葉Girls」の活動で利益を得ていたことと萌景さんの自殺がどのように結びつくか全く不明である。原告らはここでもHプロを不当に貶める印象操作を行おうとしている。」


 「萌景さんが中華料理屋でのアルバイトを1カ月足らずで辞めたのは「餃子を焼くのが嫌だったから」であると聞いている。萌景さんが通信制高校の学習で用いる教科書を無償で受け取る為には、アルバイトで90日以上勤務することが必要であった。Hプロは、アイドル業では教科書の無償交付の対象にならないとの相談を萌景さんから受け、必要な日数だけ萌景さんをアルバイトとして雇うことにした。萌景さんがHプロでアルバイトをしたのは平成29年7月から9月であり、教科書の交付のために最低限のものである。Hプロとして、萌景さんにアルバイトとして働いてもらう必要性は全くなかった。この件も萌景さんの自殺の何の関係があるのか全く不明である。」


 と書かれています。

 通信制高校にアイルバイトの勤務証明書を出すと、教科書代が無償になるので、Hプロは仕方なく、アルバイトをしていたことにして(実はほのかさんはHプロで全然働いていなかったらしいです)いたというのが真相のようです。

 萌景さんが通う定時制の教科書代を無償にするための方便を事務所側が取っていたら、いつのまにか「労働搾取」などと言われて訴えられるとか、ちょっとひどい話ですね。
 
 

 子供の教科書代くらい払え

 この裁判は望月弁護士らが主催する LF(リーガルファンディング)の支援対象ということですがLFの趣旨は萌景さんの自殺に対してご遺族が被告に責任を求める裁判費用への支援です。なのでLFは「Hプロの賃金未払い事件」が萌景さんの自殺に関連があるという立証をすべきです。違法な労働環境で働かせていたことも争点の一つ。

 原告側はほのかさんは加重労働と学費撤回で平成30年3月21日に心身疲労して自死につながったという主張で裁判を起こしましたから、それ以前の平成29年夏から秋にかけての「賃金未払い事件」は争う内容が違うのではないでしょうか?渥美弁護士の主張通りに、仮にHプロがほのかさんに「賃金未払い」や「労働搾取」をやっていたとしても、自殺に結び付けられる因果関係は認められないのでしょう。
 
 これをリーガルファンディングで集めたお金を使ってもいいのでしょうか?


 そもそも、そんな無賃アルバイトをさせる事務所に何故通わせていたのでしょうか


 この裁判は募金を集めた「芸能事務所のパワハラ、アイドル自殺問題」などを争点にする前に、萌景さんへの労働問題が違法だと立証されてからその労働内容の安全管理義務違反でHプロに賠償請求の裁判を行い、Hプロ所属だった「愛の葉Girls」が株式会社「フィールド愛の和」に移籍したことによって安全管理義務違反の損害賠償請求義務も「フィールド愛の和」に承継されたのだと訴えるのが正しい順序だったと思いますが。

 「フィールド愛の和」はほのかさんが所属していた「Hプロジェクト」のアイドルユニット「愛の葉Girls」をほのかさんの自死後に引き受けた愛媛県松山市の広告代理店兼イベント業者でしたが、ほのかさんの死の責任とその負債も事業継承の時に受けたとして、第一訴訟でHプロジェクトと共にご遺族から訴えられていたので、営業毀損や名誉毀損などで提訴していましたが、(第三訴訟)遺族側の訴訟取り下げを受けて第三訴訟は取り下げが決まりました。




 



 以上です。画像はいどちゃん @ido_nikon  さんより提供!2017年7月23日イベントにて。


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 ※訴訟の取り下げなどあり、古くなってしまった情報がありますので、あちこち修正して行きます。