速報しなかったのは、色々とトラブルがあり、管理人自身、筆舌に尽くし難い混乱があったからです。
当日は傍聴券が配られ、38席に対して44名が並びました。(誤字脱字を修正し、配布資料の部分を色分けしました)(記者会見で)が抜けてる部分を修正しました。(弁論の部分も修正しました、誤解を与える表現になってしまい、原告、被告の方にご迷惑をおかけしました)(週刊誌女性セブンの養父が萌景さんを盗撮や覗き行為をしていたという記事への原告側の反論もこの色で修正しました)

 【大本萌景さんのご遺族が元所属事務所と、その関係者を訴えた裁判の第二回口頭弁論、傍聴記】

 平成31年、4月22日東京地裁606号法廷で3時30分に開廷。
 裁判長は民事7部・小川理津子氏(新任)

 簡単に概要をまとめますと、原告側は訴状にある争点、論点を変えてきました。
この裁判の特徴は原告側の主張について、被告側が反論するとまた別の争点を加えてくることで、それに対して、これは新しい女性裁判長から書面が増えていくのは「裁判所としても敵わんな、 というところです」と苦言が呈せられました。

 原告側は何を裁判長から求められているのかを、あまり理解できていない様子で望月弁護士と河西弁護士は度々傍聴席に向かって「演説」を始め、裁判長から「それはもう何度も聞きました」と制止されることが数回ありました。

 裁判というものは訴状に書かれている訴え(まさに訴であるところです)を元に原告被告が弁論を尽くし、証拠と証言で争い、裁判官に審理を仰ぎ、判決を頂くというものです。

 【争点はアイドルの搾取問題か?】

 今回の裁判の”異質”さ、というものは「訴状」から争点や訴求する対象がずれていっていることです。
当初、訴えの記者会見を開いた原告側の主張は以下の通り。(①を参照の事)
しかし今回、原告側は記者会見で「謎のアボガト搾取」という作戦に打って出ました。「hプロのアボガドオーナー企画で原価数千円程度のアボガドの苗を萌景さんの3名のファンに売り、オーナーになってもらった、hプロは利益の大半を独占した、多くの報酬比率は5:5なのでhプロの搾取の構造があるという事でした。


 しかし「搾取」の問題は萌景さんの自殺の原因についてなんの関係性もない、どころか、萌景さんの死後、hプロから「愛の葉Girls」の使用権を数百万で買い取った「フィールド愛の和」は「アイドルの搾取問題」から全く関係が無い。

 愛の和を債務継承のみで訴状に入れたのであれば、これは別訴にするべきだったのではと思いました。

 【訴状から方向転換したフィールド愛の和への訴え】

 これについて、訴状には「フィールド愛の和は」事業譲渡に伴い、萌景さんの自殺に対する責任として不法行為責任、安全配慮義務違反により生じた損害賠償義務も当然に継承したとあります。(訴状24〜25P)しかし、原告側は今回、事業譲渡の際に、「個別の債務引受同意」が存在したはずである。また「会社法の規定の適用により返済責任がある」との主張を加えてきたということで、被告側の渥美弁護士はその主張について「方向は大きく変わっている」と指摘、原告側による訴状作成段階での争点整理不足が露見しました。


  【遺産分割協議書についての現状】

 今回の注目すべき大きな争点としては、前回の裁判で被告側弁護士が釈明を求めた「遺産分割協議書」の日付についてです。(初めて渥美弁護士の口から実父の名前が出ました)

 この日配られた被告側の資料によると、「萌景の死亡により、〔義父と実母が、法定相続分として〕それぞれを二分の一ずつを相続した」(訴状26P)とあり、訴状では、法定相続人が二人になっています。しかし、本来なら、萌景さんには実父が生存しておりますから、三人で遺産相続協議をしなくてはなりません。では、それは、いつなされたのか?

 【遺産分割協議書について】

 こちら

 望月弁護士が「遺産協議書については萌景さんの裁判には関係がない」とするも松永弁護士から「損害賠償請求の基本です!」と突っ込まれ、裁判長も「三分割のものを二分割にしたのであるから、関係ないことはないでしょう」と、原告側の「遺産協議書」を出さない、という主張を退けました。

 裁判長は原告側にマスキングしたものを提出するよう要請、萌景さんの遺産を協議した日付の確認は次回に持ち込まれました。(今回も原告の大本幸栄さんが出廷されていましたが、日付については、この日も明らかになりませんでした)(これらご遺族の交通費はどこから出ているんでしょうか?)

 ■情報の補足としては準備書面で、平成30年8月3日に原告代理人の勧めにより(氏名不明)遺産分割協議が成立し、平成31年2月15日〜平成31年4月8日にかけて、実父を望月弁護士が代理して遺産分割協議が成立した旨を通知した(準備書面(1)138〜139P)と資料にあります。

 被告側の配布資料の説明としては「訴状の段階では法定相続分を前提としていた、しかし、新たに作られた準備書面では遺産相続分割協議が成立しているとした主張に変更した」とあります。遺産分割協議書が成立したことを示す証拠が出されていない。原告らの主張の事実関係が法的に遺産協議と評価できるものであるか判明しない。弁護士である原告代理人らの勧めに従ったのであれば、遺産分割協議書が作成されていてしかるべきだ」とあります。

 また遺産分割協議の通知について、「委任状等、望月弁護士が萌景さんの実父から委任を受けたことを示す証拠が提出されてない。とのことでした。訴状段階で法定相続人が実父を含めて3名存在するのにもかかわらず「法定相続人」として実母と義父が2分の1を相続したという主張がされていたことからすると、遺産分割協議が三者間で本当に成立してるのかについても疑義がある、原告は証拠を出すべきである。」と宣言しています。

 つまり、訴状には義父と実母と二人だけで昨年遺産分割協議して法定相続分を決めてたのに、後から作った準備書面では実父含めて遺産協議をしたことになっている。それならば、その証拠を出せ、ということなのです。三者入れての遺産分割協議は、本来なら訴状を作る前に、提訴前に済ましておかなければならない法的手続きです。
(弁護士職務基本規程・第37条〜法令等の調査〜)


 いずれにせよ、2月18日の第一回口頭弁論の時の裁判長から出された原告側への宿題は一つも形にはなっていませんでした。これは確かな事です。

 前回の口頭弁論の時に出された宿題の内容は以下の通り。「萌景さんの遺産協議を二分割にした根拠とその日付、被告側に萌景さんの自殺を予見することが可能だったとする根拠の他、被告フィールド愛の和が 
Hプロジェクトの債務を継承した根拠を立証するように」でした。

 【被告側の反撃、始まる】

 
 当日記者会見で配られた配布資料では
「義父とのトラブル、実母も全日制高校に行きたいという萌景さんの望みに真摯に向き合っておらず、家計から学費を支出しようとせず、萌景さんの報酬によってこれを賄わせようとしている。萌景さんが消費者金融から学費を借りようか、実母に相談しているLINEの証拠もある。

 萌景さんの将来に直結する全日制高校への再入学についても、本人がこれを希望しているにもかかわらず、僅か数時間の間にこれを断念させており、家計から学費を支出するという選択を検討すらしていない。」「原告らの主張を前提としても、実母から全日制高校への入学を辞めるよう促し、自殺当日の朝に、即座に制服をキャンセルし、全日高校へ行かなくなったことの連絡を萌景さんからするよう指示している。

 萌景さんがイベントに行きたくなく、自転車がパンクしてると嘘をついた時にも雨が降ってる中、自転車でイベントに行くようにと指示をし、(自宅からイベント会場の距離は11キロ)自らは車で自宅から4キロ先のゲームセンターに向かっている。

 全日制高校への入学辞退の連絡をするように萌景さんに指示したのはゲームセンターに向かう車の中である。萌景さんは、佐々木氏の家で夕食を取ることもあった。また、萌景さんは、本件グループの活動終了後に自宅まで送ってもらった際も、なかなか家に入ろうとせず、何時間も佐々木氏やスタッフと話していることがあった。実母自身も、萌景さんの生活態度について注意をするようにスタッフに頼んでいる。萌景さんにとって、自宅は安心して過ごせる場所ではなかったのではないか。」
とあります。

 被告側が原告側の主張を「否認」するだけだった第一回口頭弁論から二回目、記者会見や配布資料、原告側が出した準備書面への反論として、とうとう原告側の家庭事情が姿を表し始めました。

 また、女性セブンに掲載された義父とのトラブルについて、原告側の反論も出され、被告側の配布した資料にも、その旨、記載がありました。(女性セブンの記事は下記リンクを参照のこと)

 ①「コタツで義父に脚を盗撮された」というのは、義父の携帯電話のカメラが誤作動してシャッター音が鳴った為に、萌景さんが誤解をした、というもの

 ②「入浴時に脱衣所に入って来られた」というのは、義父が、脱衣所を挟んで浴室のトイレに入る為に脱衣所を通り抜けたというもの。

 ③「部屋の鍵を壊された」というのは、萌景さんが電灯や冷房を付けたまま部屋の鍵をかけて寝ていたので、施錠をすることができないよう、ドアノブに細工をしたというもの。(準備書面(1)83P)より


いずれのエピソードも萌景さんにとって深刻に悩むような事象ではなかった、とその報道そのものを否定しています。

 『週刊女性セブン』 「16才自殺した地方アイドルが苦悩していた家庭でのトラブル」

 次回弁論期日は7月4日501号法廷
これはラウンド法廷と言って楕円形のテーブルに関係者が座り、リラックスして話せるようにしつらえた法廷で、傍聴席は僅かに10席。

 次回こそ、萌景さんの死の真相が明らかになって欲しいものです。






 ■原告側主張、争点のまとめ

①違法・不適切な労働環境で労働をさせていたこと

②被告会社の社員からのパワーハラスメントによって精神的に追い詰めていたこと

③学校と芸能活動の両立を阻害したこと

④高校進学費用を貸し付けると言いながら直前で撤回して期待と信頼を裏切ったこと

⑤そして被告会社のS社長による「愛の葉を続けないのであれば違約金1億円支払え」と発言したこと